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岡本太郎

 『生活の中に色や形が溶け込んでいくことこそ、芸術としての意味がある』岡本太郎は、パリでマルセル・モース氏より民俗学を学ぶ。そして、文化人類学の知見から、人間にとっておしゃれとは、肉体をより一層引き立てることから始まっており、おしゃれはたたかいなのだ、考えていました。はい。その通りでございます。日々戦いでございます。

 柳宗悦氏も同じく民俗学を学び、日本各地よりその土地の骨董を収集しているが、岡本氏と異なるのは、色使いだ。岡本氏の収集品はどれも色鮮やかである。岡本太郎氏いわく、『日本の色彩はくすんでいると繰り返す。江戸時代以降の政治の封建制による抑圧が日本の服飾の色彩感に影響しているのではないかと考察する』。

 両者に共通することは、芸術は『生活』から切り離すことはできない、ということであろう。その土地の生活があってこその芸術、例えば服飾であり、毎日の生活に必要な道具であったり、そういうことだ。そしてさらには、1日の生活を大切にすることこそが、自分の人生の芸術性を高めることであり、自分の人生という作品をていねいに形作っていく。一日の生活を構成する衣食住、自身を構成する、姿、発する言葉、振る舞い、そして、何より身体の声に耳を傾けながら、日々を大切にすること生きていくことが私の芸術である。納得のいく作品に仕上げたい。